(38) 大高よし男の公演記録(2) 昭和17〜18年

引き続き、公演記録の後半、昭和17年と18年の分を並べてみます。


大高よし男公演記録(2) 昭和17〜18年


昭和17年

1月14日〜 川崎・大勝座
伏見澄子一座 中村吉十郎・大高よし男加入(三の替り)

『源太仁義』四場 ※大高よし男出演の記載あり
『土屋主税』二場
『花川戸の人々』四場
〔昭和17年1月12日神奈川新聞より〕


1月20日〜 川崎・大勝座
伏見澄子一座 中村吉十郎・大高よし男加入

『仇討人情双六』五場
歌舞伎劇『良辯杉の由來』二場
『親戀女道中』四場
人間ポンプ 有光伸男
〔昭和17年1月19日神奈川新聞より〕


1月31日〜 横浜・敷島座
伏見澄子一座 高杉彌太郎改め大高義男加盟
時代劇『劍の光祭音頭』四場
現代劇『牧場の母』一幕
女劍飛躍『仇討こよみ』三場
バラバラ人間 
籠寅漫才大會
〔昭和17年1月26日神奈川新聞より〕


2月7日〜 横浜・敷島座
伏見澄子一座 大高義男出演
『仇討人情双六』四場
『銃後に咲く花』四場
『侠艶お吉ざんげ』三場
〔昭和17年2月9日神奈川新聞より〕


2月28日〜3月(9)日 京都・三友劇場
伏見澄子一座 市川百々之助特別出演 大高よし男・二見浦子加盟合同公演
時代劇『元禄辰巳の夜噺』四場(鈴木道太郎 作) ※主演大高よし男の記載あり
現代劇『牧場の母』一幕(英霧太郎 作)
時代劇『剣難』五場(葛飾百十八 作)
時代劇『疾風親恋峠』四場(佐々木憲 作)
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


3月10日〜 京都・三友劇場
伏見澄子一座 市川百々之助特別出演 大高よし男・二見浦子加盟合同公演
時代劇『仁俠江戸桜』三場 ※主演大高よし男の記載あり
現代劇『皇国の母』三幕
時代劇『黎明二重奏』
時代劇『女夫駕東海晴れ』
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


3月(20)日〜 京都・三友劇場
伏見澄子一座 市川百々之助特別出演 大高よし男・二見浦子加盟合同公演
『二人旅春の雪解』四場
現代劇『土に親しむ』二幕
時代劇『海を護る者』一幕
時代劇『鳶女房 勇俠は組の纏』四場
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


3月(31)日〜 京都・三友劇場
伏見澄子一座・河合菊三郎一座・雲井星子一党 大高よし男・二見浦子加盟合同公演
時代劇『剣光祭音頭』四場 ※主演大高よし男の記載あり
時代劇『愛の銃剣』四場
現代劇『恩師の仇』四場(劇中劇)
時代劇『新月 賽河原 題目供養』六場
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


4月(9)日〜 京都・三友劇場
伏見澄子一座・河合菊三郎一座・雲井星子一党 大高よし男・二見浦子加盟大合同公演
時代劇『春霞武道往来』四場(鈴木道太 作並演出) ※主演大高よし男の記載あり
時代劇『故郷の夢』二場(小林勝之 作 安田弘 演出)
時代劇『祇園しぐれ』一幕(村上元三 作 小笠原譲二 演出)
時代劇『お駒格子』四場(大場章三郎 作 鈴木道太 演出)
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


4月(18)日〜 京都・三友劇場
伏見澄子一座・河合菊三郎一座・雲井星子一党 大高よし男・二見浦子加盟大合同公演
時代劇『冴える三日月』三場(鈴木道太 作並演出) ※大高よし男主演の記載あり
時代劇『出世の纏』五場(伊藤晋平 作 安田弘 演出)
時代劇『十六夜三人旅』五場(平野万太郎 作 小笠原譲二 演出)
時代劇『春月妻折笠』二場(鈴木道太 作並演出)
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


6月19日〜 川崎・大勝座
■協團?(海江田譲二・中野かほる・大内弘・大高よし男出演)
現代劇『かんざし』三場
時代劇『冴ゆ■三日月』三場
『次郎長京へ上る』七場
〔昭和17年6月22日神奈川新聞より〕


8月(31)日〜 京都・三友劇場
剣戟二座合同劇
河合菊三郎一座・伏見澄子一座 二見浦子・大高よし男加盟
現代劇『慈愛の紀念樹』一幕二場(一堺漁人 作)
時代劇『清吉大名異変』一幕四場(坂本晃一 作)
時代劇『建設の使車(ママ)』五幕(末広薫 作)
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


9月(10)日〜 京都・三友劇場
剣戟二座大合同劇公演
河合菊三郎一座・伏見澄子一座 大高よし男・谷明子加盟
時代劇『鼓の里』二場(榎本寅彦 作)
時代劇『月朧仇夢譚』四場(坂本晃一 作)
時代劇『女心愛染塔』六幕(高梨康之 作)
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


9月(19)日〜 京都・三友劇場
剣戟二座合同劇大公演
河合菊三郎一座・伏見澄子一座 大高よし男・谷明子加盟
時代劇『新吉捕物異聞』六場(平野万太郎 作)
現代劇『新地の姉弟』四場(安達彰夫 作)
時代劇『烈女小竹』二幕(青葉秀風 作)
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


9月(30)日〜 京都・三友劇場
剣戟二座大合同劇
伏見澄子大一座・河合菊三郎一座 大高よし男・谷明子加盟
時代劇『風雲熊本城 西南余聞 谷村と千葉健二郎』三場(行友李風 作)
時代劇『利根川染 子負い道中』五場(巽義夫 作)
時代劇『暁の鍔鳴り』六幕(末広薫 作)
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


10月(10)日〜 京都・三友劇場
剣戟二座大合同劇
伏見澄子大一座・河合菊三郎一座 大高よし男・谷明子加盟
時代劇『深川伊達男』四場(細見正逸 作) 主演 大高よし男
『野狐三次』五場(井上平凡 作)
怨恨恩愛 お滝双六』六場(青葉秀風 作)
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


10月20日〜 京都・三友劇場
剣戟二座大合同劇
伏見澄子大一座・河合菊三郎一座 大高よし男・谷明子加盟
時代劇『唄ふ若様』七景(長一郎 作) 主演 大高よし男
時代劇『泣き濡れ長脇差』五場(藍島千里 作)
時代劇『源九郎狐』五場(末広薫 作並演出)
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 第十巻より〕


この時期に参加していた伏見澄子一座も横浜と縁がありますが、伏見澄子との共演は横浜よりも京都の方が多かったようです。

伏見澄子の横浜初登場は昭和13年。その時、大高よし男はまだ伏見一座との関係はなかったと考えられます。

伏見澄子は明治34年生まれなので、この頃は40代半ば。「東西女剣戟銘々傳」を特集した『パンフレット文藝』によると、広島県福山市の出身で、広島の新天地で見た芝居がこの道に入るきっかけだったそうです。

そんな伏見はこんな人。

伏見澄子
(木村學司『女剣戟脚本集』(昭和15年)より)


昭和18年

3月1日〜 浅草・金龍館
伏見澄子一座・河合菊三郎一座・和田君示一座・松旭斉天華一行
『撃ちてし止まむ』
『街道時雨』
『仇討禁止令』
『夫婦駕東海晴』
〔「松竹七十年史」「演劇年鑑」昭和22年版より〕 ※推定


3月16日〜 浅草・金龍館
三座合同競演大会
伏見澄子一座(大高よし男・三桝清特別加盟)・和田君示一座・松旭斉天華一行・中野かほる一座
『鶴亀功名噺』
『簪』
『源九郎狐』
〔ブログ「西条昇教授の芸能史研究」・「松竹七十年史」「演劇年鑑」昭和22年版より〕


3月(31)日〜 京都・三友劇場
剣劇歌舞伎大競演四月特別公演
伏見澄子一座・林長之助一座 大高よし男・三桝清加盟 特別出演 片岡松右衛門
『元禄士道鑑』三場(長田午狂 作) 三桝清・大高主演
吾妻与五郎 寿門松』一幕(近松門左衛門 作)
『子育道中』七場(末広薫 作)
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 別巻より〕


4月10日〜 京都・三友劇場
剣劇歌舞伎大合同劇
伏見澄子一座・林長之助一座 三桝清・大高よし男・筑紫美津子加盟 特別出演 片岡松右衛門
『情の助人』四場 三桝清・大高主演
『岸姫松轡鑑』一幕
『渚の喜見城』三場
『春怨お吉ざんげ』二場
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 別巻より〕


4月(20)日〜 京都・三友劇場
剣戟歌舞伎大競演 三の替り
時代劇『情怨おけさ小唄』五場(坂本晃一 作) 三桝・大高主演
歌舞伎『廓文章』二場 吉田屋の段
時代劇『嬬恋天龍』一幕六場(藍島千里 作)
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 別巻より〕


4月30日〜 京都・三友劇場
剣戟歌舞伎合同公演 四の替り狂言
伏見澄子一座・林長之助一座 三桝清・大高よし男・中村時江・筑紫美津子・片岡松右衛門加盟
『血縁ふるさと記』五場 三桝・大高主演
『水天宮恵深川』二幕
『伏見の高田の馬場』五場
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 別巻より〕


5月11日〜 京都・三友劇場
剣戟歌舞伎合同大競演
伏見澄子一座・林長之助一座 三桝清・大高よし男・中村時江・筑紫美津子・片岡松右衛門加盟
『足軽剣法』五場
『妹背山婦女庭訓』一幕 三笠山御殿の場
『明暗振分旅』七場 伏見澄子主演 大高よし男助演
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 別巻より〕


5月(21)日〜 京都・三友劇場
剣劇歌舞伎合同大競演 六の替り
伏見澄子一座・林長之助一座 三桝清・大高よし男・筑紫美津子・片岡松右衛門加盟
『愛憎妻恋峠』五場 大高・筑紫主演
『生写朝顔日記』二場
『黎明新日本』七場 伏見澄子主演 三桝・大高助演
〔「近代歌舞伎年表」京都篇 別巻より〕


以上が、今わかっているすべての情報です。

並べてみると、それなりの数になりますが、調査範囲が横浜・川崎・京都・東京に限られているので、このほかにも他地域、特に名古屋や広島あたりで活動していることが予想されます。

また、ここに列記した時期の前後ですが、現段階では

昭和15年2月以前:近江二郎一座の座員として各地で公演していた
昭和18年6月以降:召集されて軍隊に行っていた

と推測しています。

もちろん「推測」ですから誤りの可能性もかなり高いです。いずれにしてもこの前後の時期をきっちり調査して、彼の舞台活動の全貌を明らかにし、なんとか手がかりを探して、大高よし男という人物の伝記的資料を収集するのが次の段階です。

→つづく


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